近年施行されている認定制度と住宅性能表示制度の認知度を比較したのを図4-6に示す。住宅性能表示制度の認知状況をみると「内容を大体知っている」が22.6%、「名前くらいは知っている」が32.1%となっており、5割以上の需要者が知っているが、他の認定制度に比べて最も低い。また、「全然知らない」と応えた需要者は45.2%(契:44.0%<訪:47.1%)となっている。性能評価を受けた物件であるにもかかわらず、住宅性能表示制度を知らない需要者がほぼ4割を超えている。
図4-6 各種の認定制度と住宅性能表示制度に関する認知(N=85)
(2)購入の際の住宅性能項目の重要さ
住宅性能表示の項目に対しその「重要さ」を3段階で評価した平均値を示したのが図4-7である。全ての性能項目に対する重要さの全体平均値は2.78であり、ほとんどの性能項目が重要とされていることが分かった。部門別にみると、「火災消防部門(2.91)」「騷音部門(2.90)」と「環境部門(2.81)」が平均値より高いが、「構造部門(2.70)」「生活環境(2.55)」は低い。また、項目別にみると、8項目が平均値より低く、その中で「住民共同施設(2.45)」が最も低い。重要な性能項目としては、「重量衝撃音(2.94)」「室内空気質:単位世帯の換気性能確保(2.94)」が最も高く、「軽量衝撃音(2.92)」「火災感知及び警報設備(2.92)」等と続いている。しかし、可変性及び維持管理性、高齢化対応、新環境性関連の性能項目が相対的に重視されていないため、良質ストック形成するための性能項目に対して需要者の認識不足を指摘することができる。
図4-7 性能項目の重視度(N=85)
性能表示項目の選定は、専門家や行政等の各種立場からの意見を踏まえた上で決定されたといわれているが、必ずしも需要者の要求に応えるものになったとはいえない。こうした経緯から現表示項目は需要者が住宅選択時に求める事項と比べ限定されたものとなっていると推測され、新たに共通ルールを設け表示した方が良いと考えられる事項について尋ねたのが図4-8である。先ず、共通のルールを設け表示した方がよい事項としては、「防かび」「抗菌・防ダニに配慮対策」「騒音原及び外部騒音に対する騒音性」「住戸内の燃焼抑制の措置」等の8項目が半数以上の回答を得た(図4-8の左)。また、更に物件情報の提供と広く捉えて表示した方がよい事項としては、「ゴミ処理方式」「駐車台数・駐車方式」「セキュリティ確報の方法」の3項目に半数以上の関心を示した(図4-8の右)。需要者は日常生活にかかわる項目を選択したと考えられる。
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