2010/04/01

第3章 韓国の分譲集合住宅供給者の住宅性能表示制度に対する意識及び評価/3.2 住宅性能表示制度に対する供給者の意識及び評価/3.1.1 住宅事業において重視する要素

本調査では建築請負の順位における20位以内の16社(88.9%)、20位以外の2社(11.1%)が調査対象になった。その中には制度の施行前に韓国住宅協会が行った性能等級の評価に参加した建設会社も含まれており、それらの企業ではプロジェクトチームや担当部署で制度に関する検討が行われた。設問票の回答者は「研究所」及び「技術部門」の所属と「課長以上」の役職が多かった[1]。供給者は住宅事業においてソウルと首都圏、500-1000戸規模の団地、中級以上の水準のアパートの供給を重視している。また、「1.立地の良さ」と「16.ブランドイメージ」を重視しながら、「14.住宅の品質・性能」を考慮していることが分かった(図3-1)。「8.団地内の外部空間」も重視されているが、優先順位は下位である。その他には「13.共用空間や施設の充実」、「4.外観デザイン」、「5.間仕切りの良さ」等が重視されている。ヒアリング調査で一部の供給者から現在住宅市場は居住目的の需要より資産を増やす手段として働いているとの認識も見られた[2]。

図3-1 事業において重視する要素(N=18) 

[1] 所属及び部署においては、研究所・技術が10名(55.6%)、商品企画・開発・戦略と設計が各々に4名(22.2%)であった。また、役職においては、部長・次長が5名(27.8%)、課長・選任が10名(55.6%)、代理が3名(16.7%)であった。
[2] この供給者の認識は、次の韓国の住宅価格の高騰を背景にした需要者の行動を意味している。韓国の住宅事情は2002年度に(旧集計方式の)住宅普及率は100%(全国基準)を達成したが、未だ首都圏地域を含め一部地域では量的不足が解消されていない。この量的不足に加え本文中に示したように不動産市場への投機性資金の流入は不動産の価格上昇を起きている。具体的には、1999年から2006年までの「全国住宅価格調査(国民銀行)」によると、この期間に住宅価格は毎年平均5.5%上昇した。また、今年発表された「全国共同住宅の公示価格(建設交通部)」によると、住宅価格は去年より全国平均22.8%(2006年は16%)上昇した。

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