2010/04/14

第4章 韓国の分譲集合住宅需要者の住宅選択と住宅性能に対する意識/4.2 K物件の需要者の住宅選択の意識と住宅性能表示制度の浸透の実態/4.2.1 K物件の特徴

  K物件の供給者は、中堅会社であるが、民間ディベロッパーの中でメジャー級といわれている。新進会社だから住宅市場において会社名より住宅商品のブランド戦略により高級なイメージや認知度を上げてきた。K物件は、韓国の中部地域の60万人口の中規模都市に位置しており、近年大都市のマンションの高級化が地方の住宅市場への移行を示すことができる。そのため、K物件の分譲価格は、周辺の物件より高い[1]。供給者は、K物件を含め、住商やアパートと百貨店、病院、学校、公共施設、公園等で構成される多機能複合団地を目指している。今回の分譲戸数が2,000戸を超え、住宅性能表示制度の義務対象となっている。供給者は、現場の周近にモデルハウスを建設し管理・監督を行っているが、契約及び案内業務は分譲業務代行の専門業者に委託されている。需要者は自由にモデルハウスの見学することができ、分譲カタログやパンプレット等ももらうことができる。しかし、敷地周辺や地域情報等が多く、住宅性能評価を受けた物件にもかかわらず評価書情報を確認することができなかった[2]。

図4-1 K物件の施工現場とモデルハウスの内部 


[1] K物件の概要を下記にようになる。分譲方式:先分譲後施工、分譲開始・入居予定:2007年3月・2010年末、分譲価格:約1100万WON/坪(周辺分譲アパート:約800万WON/坪)、形態・敷地面積:住商複合(共同住宅)団地・67,934㎡、構造・規模:RC造・地下3層・地上37-45層、住戸数:2164戸、住棟:タワー型・9棟、・住戸タイプ:38・49・59・63・77坪、その他:外部空間及び住民共同施設等。
[2] 「住宅法(第21条の2)」に基づき、住宅性能表示制度の義務対象は、性能評価を受けることと、性能事項の等級を「入居者募集公告」に掲示することが義務づけられている。事業主体は、分譲する5日以前に入居者募集公告を日刊新聞等に掲示しなければならない(住宅供給に関する規則(第8条)より)。その内容には、住宅性能等級表示とともに事業主体名、施行業者名、物件情報、入居者へ融資支援、手続き、分譲価上限制適用住宅の分譲価格公開(宅地費・工事費、間接費等)等が定められている。なお、入居者募集公告に住宅性能等級が開示されなかったことに対し、K物件の供給者は、手続上の誤りを認めており、行政から指摘を受けた。

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